営業でも、対面販売でも、売れる人と売れない人の違うところって、いろいろありますよね。
技術面、メンタル面、知識に経験、考え方・・・など。
細かく見ていけばキリがない;
でも、今振り返って思えば、実は大きな差が生まれるところって、意外にもっと根本的なことだったりしたよなって思うんです。
例えば、僕が初めて営業職に就いた時の話。
僕が営業職に就いたのは31歳の時。
それまでは、実はいろんなところでベースを弾いてお金をもらい、生活で足りない部分はバイトで補うっていう生活をしていたんですね。
まあ、いわゆる「ミュージシャン崩れ」ってやつです^^;
そんな僕がケガや結婚という事態に直面することになり、「少しはまともなことして、生きて行かなアカンな」と一念発起して、就職したのが広告代理店の営業という仕事でした。
ところが、それまで音楽しか知らない人間だったので、営業のことなんて全くわからない;
そもそも会社や広告のことも全くわからない;
そんな状態から仕事を始めたので、とんでもなく大変な目に遭いました。
営業といっても、その会社で新人がやるのは求人広告のテレアポと飛び込み営業なので、出勤して午前中は膨大な資料(リスト)を前にマニュアルを見ながら何百社と電話して、アポが取れたらそこに訪問するという毎日。
もし、アポが取れないと永遠に電話をし続けなければならず、一人残って事務所でみんなの晒し者になるので、それだけは避けたいと必死でした。
でも、何とかアポが取れても、とても契約までは辿り着けない。
そりゃ、そうですよね。
営業なんてやったこともないし、まともに広告の説明もできないんだから^^;
だから、アポ取って訪問しても、挨拶して資料と名刺だけ置いてくるっていうことを繰り返していました。
そうやって1ヶ月経った時の成績は、当然売上ゼロ。
新卒の大学生上がりの子でもいくらか売り上げを上げている中、社内でただ一人僕だけが売上ゼロでした;
それでも先輩達は慰めてはくれましたが、それがまた惨めで、「俺、向いてないよなぁ。やっぱり無理なんかなぁ」って、家に帰っても落ち込んでいました。
でも、いくら落ち込んでも次の月はやってくる。
いくら新人とはいえ、2ヶ月連続で売上ゼロなのに給与だけもらうっていうのは耐えきれない。
だから、無理やり「今度こそは」ともう一度気持ちを奮い立たせて、テレアポをしまくっていました。
それでも相変わらず、結果は振るわない;
そのうち、徐々に電話するところも無くなってきたんですね。
営業マン1人1人担当するエリアっていうのがあって、その地域にある企業に電話するんだけど、1日何百件とかけてるから、1ヶ月もすればかけるところが無くなってくる。
それでも、売上ゼロの人間がサボってるわけにはいかないから、ネタを探すんだけど、残っているリストは先輩たちもみんな敬遠している「NG企業」ばかり。
・別の広告会社と古くから強固な関係(癒着)なので入り込めない
・担当者が気難しい人でまともに相手にされない(トラブルも多い)
・そもそも求人広告を出さない
などなど。
実際、リスト資料にもその企業のところには大きく❌が書かれていたりしたんです。
それでもネタがないから、電話しなきゃしょうがない。
だから、もう半ば諦めの境地でNGリストにもかけまくりました。
そうすると、その中で奇跡的に3社だけアポイントが取れたんですね。
まあ、先輩からは「行っても門前払いになるだけだったりするよ」って言われましたが・・・^^;
しかし・・・
その中の1社で奇跡が起こったんです。
実際、最初に訪問した2社は担当者も出て来ず、受付で名刺を渡すだけが精一杯だったので、3社目に行く前は、正直「どうせ無駄だし、もう行くのやめようかな」と思っていました。
ただ、早い時間に事務所に戻るのも嫌だし、サボって遊ぶほどお金も持っていなかったので、もうやぶれかぶれで単に業務をこなすといった感覚で訪問することにしたんです。
ところが、その企業は他のNG企業と違って、訪問すると担当者が出てきてくれたんですね。
で、一応応接室にも通されました。
ただ、そこで求人広告の説明をしても、一向に乗ってこず無反応無表情(まるで蝋人形のよう;)
だから、3分で営業の話は全て済んでしまい、あとはたまたま応接室にスポーツ新聞があったので阪神タイガースの雑談を少しして退散するといった感じで終わりました。
ただ、その2日後。
その会社の担当者から電話がかかってきたんです。
それまで自分宛に会社に電話がかかってくることなんてなかったので「あの時、何か失礼なこと言っちゃったかな?」と思ってビクビクしながら電話に出たんですが、「ちょっと聞きたいことがあるから来てほしい」ってことだったんですね。
で、恐る恐る伺ったら・・・
そこにはビックリするくらい大量の注文が用意されていたんです!
思わず「えっ?」ってなって、嬉しいより、「何で?」の疑問で頭が一杯でした。
でも、後から考えると、自分に合う人と仕事がしたいタイプの方だったんですね。その担当の方は。
求人広告なんて、さほど他社も大きな違いはない。
それなら話しやすいやつの方が仕事がしやすい。
無理も言えるし、本音で話せるからストレスもない。
そういう営業マンを求められていたんだなって。
そして、その相手として野球の話ができる僕が選ばれたんだと・・・
今となっては懐かしい話だけど、30年前のこの出来事が結果的に僕の人生を大きく変えることになりました。
後日談ですが、実はあれだけ契約が取れずに苦労していた営業も、1ヶ月目の売り上げがゼロだったにも関わらず、あの一件以降ナント一気に2ヶ月目で社内で営業トップになったんです。
理由は、
誰も手を出さなかったNGリストに対して開き直って営業に踏み込めたことで、結果的にその中の3社から大型契約が取れたからなんですね。
一瞬の勇気でしたが、その中に成功するのに大事な要素が含まれていたわけです。
ただ、こういうのって勉強して身につくもんじゃない。
テクニックや知識、ましてや練習の範疇でどうにかなるもんじゃないんですね。
きっと、実践する中で、さんざん悩んで、迷って末に、行動した者だけが得ることができるノウハウなんじゃないかなと思います。
実は、人生が激変するきっかけって、誰にでも案外あと一歩で届くところにあるものなのかもしれませんね。
ひょっとしたら、これを読んでくれているあなたにも、そのうち機会が訪れるかも・・・
是非めげずに頑張ってくださいね。
そして・・・
どうか、その時は、営業のドSの神様、お手柔らかにしてあげてくださいね^^