「試食販売を実施しているのに思うように売れない」・・・時々こういったことがあります。
「販売員のスキルが足りない」「商品に魅力がない」「来店数が少ない」という風に原因はいろいろありますが、こういったことはすぐに何とかしようとしてもどうにもならなかったりします。
しかし、上記の点には問題がないのに販売方法が悪いことで結果が出ないということもあるんですね。
そういった時はちょっと改善するだけで売上が劇的に良くなることも少なくありません。
たとえば、商品から離れた場所での作業をなくすといったこともその一つです。
通常、試食販売を実施するときは一番上の画像のように商品が並べてある場所のところで、試食品を作って提供し、お客様に説明をします。
しかし、時にはお店の都合で試食品はバックヤードで作って、出来上がった試食品を商品が並べてあるところまで運んで接客をしないといけないケースもあります。
また、時にはお店の構造上、イベントスペースがなく、商品が置いてある場所とはかけ離れた場所で商品説明をしなければならないケースもあるんんですね。
こういった場合、まずそれが売上が伸びない大きな原因になっています。
上記は、あるスーパーでクリスマス前にシャンパンの飲み比べの試飲販売を行った時の写真です。
お店の入り口で来店者の出入りが激しい場所ですが、商品は店内の一番奥に並べています。
こういった場合、どれだけスキルのある販売員でも売り上げを上げるのは至難の業です。
自分がお客様になったつもりで考えてみればすぐにわかりますが、お客様は入り口で試飲をして「ああ、美味しいな」と思っても、一番奥のシャンパンの置き場に一直線に行くことはまずありません。
普通は入り口から一番奥のシャンパン置き場にたどり着く前に、いろんな商品を見てまわることになります。
そして、最終的に商品が置いてある場所に辿り着いた時に買えばいいと思っていても、そこに着く前にいろんなものを見て算段しているうちに優先順位や重要度が変わってしまったり、忘れてしまっていたりするんですね。
ただでさえ、価格も4〜5,000円する商品ですし、シャンパンを買うつもりで来店されていないお客様を相手にこの設定では難しい。
せめて、商品前で実施するなどして“感動が薄れていく移動中の「空白」の時間”をなくしたいものです。
また、試食品を作る作業が商品前できない場合も、想像以上の接客ロスを生むため売上アップの弊害になります。
前回、実際にあった牡蠣の試食販売を例にとって考えてみましょう。
その日は店舗側が年末に向けて販売強化したい商品をたくさん並べたため、売り場のスペースがなく、仕方なく試食品をバックヤードで作って、売り場に持っていかなければいけない状態でした。
ただ、牡蠣の試食品を作るのに所要時間は最速で5分かかります。
また、バックヤードと売り場の往復時間は2分かかります。
つまり、一回試食品を作って出すのに7分を要するわけです。
その日は全部で20回試食品を提供したので、20回×7分=140分を要しています。
7時間の販売時間のうち、2時間強は試食品を作るだけで接客はしていない形になります。
さらに、作業が遅い人なら、労働時間の半分は全く接客しない時間となります。
これでわかるように、どれだけ販売スキルある人であっても接客ロス時間が増えると物理的に売り上げを上げることはできないんですね。
上記に挙げた例は、店舗の構造上の問題や繁忙期といった事情があるため仕方ないので、何も店舗に責任はないんですけどね。(気を悪くしないでくださいね m(_ _)m)
ただ、これでわかるように、売上ってちょっとしたことで大きく変わってくるということなんですね。
来店者(ショッパー)の心理や作業の効率化など、いろんな要因のちょっとした積み重ね・・・これが結果となって現れます。
その中でも、商品から離れた作業はお客様の購買意欲を半減させたり、接客ロスを生むので可能な限りなくして行った方がいいと思います。
一気に逆転する方法や派手に集客できるイベントばかり考える人もいますが、小さなことでも積み重ねれば大きくなります。
そして、そういったものは簡単には崩れませんしね。
微差が大差を生む。
これぞ本質の極み。大事にしたいですね。
一緒に頑張りましょう!