従業員がやる気をなくす原因の一つにノルマがある。
今ではあまり聞かなくなったが、まだ営業職や販売職ではノルマ方式を採用している会社もあるようだ。
サボる従業員や資質を持ち合わせていない従業員への対策ということだろうと思うが、基本的にそういう人はその業務や会社に適していないと思うし、ノルマ制を導入してもその人たちが会社の業績を上げてくれるとは思えない。
かえってノルマがあることで、まともな従業員も力を出しきれない状況になりかねない。
なぜなら、ノルマという「最低限」の目印を設定してしまうと、人間はそこに注目するようになるからだ。
仕事がある程度できる人でも「最低限の目標」を提示することで、そこで満足する気持ちが出てきてしまう。
そこに到達した時点でホッとする気持ちが芽生えてしまうのだ。
一度そうなると、「まずはノルマ到達を」がスタートなる。
そして、気が付いたらそこが目指すゴールに変わってしまう。
こうなると伸び代がある人材でも成長が止まってしまうんですね。
「じゃあ、ノルマを高めに設定したらいいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが・・・
そうすれば、それについて来られる人だけしか残れないようになってしまう;
この人員不足の時代にそんなことをして会社が発展するとは思えないし、離職率が高くなると従業員一人当たりの仕事量が増えるため、主力の従業員も辞めてしまいかねない。
どのみち皺寄せは全部会社が払わなくなってしまうんですね。
では、どうすればいいのかということになるんですが・・・
僕は「アンダーマイニング効果」と「エンハンシング効果」を上手く融合させる方法を取ることが大事だと思います。
アンダーマイニング効果というのは、内発的な動機で取り組んでいた行動に対して、外的な動機づけによってモチベーションが低下してしまう現象のこと。
一方、エンハンシング効果は、言語的な外発的動機づけによって内発的動機付けが高まり、モチベーションが上がる効果を意味します。 https://schoo.jp/biz/column/869
簡単に言うと、一方的に外的目標を与えるだけでなく、認めたり、褒めたり、期待をかけることで自発的内発的なやる気を起こさせることが重要だと言うことなんですね。
人間は「やりたいこと」や「なりたい自分」に向かっていく力が一番強力。
そして、会社の強さもそう言った人間がどのくらいいるかで決まる。
そう考えると、目先の業績を上げていくためにノルマを与えてもいいが、その分その外的要因を忘れるくらい、その人材を認めてあげたり、褒めたり、期待をかけてあげて内的要因を触発してあげる・・・
つまり、「自分がこの会社に必要とされている」と認識させてあげる事が成長につながり、会社を支える力になるのではないかと思います。
マズローの5段階欲求でも示されていますが、人間にとって「社会的欲求」や「承認欲求」はとても大事です。
自分が輝ける場所「社会的欲求」を見つけ、認められ必要とされる「承認欲求」が叶えられる場所ではその人は力を発揮できます。
そこでは、自分らしく生きられる「自己実現欲求」が叶えられるので、自発的に努力するようになるんですね。
経営を維持していく上で最低限のノルマを設定しても、その何倍も内的要因を触発する言動を心がける。
言葉にするのは簡単でも、実際にやるのは簡単なことではないかもしれません。
でも、うまく会社を運営していくためには、多様化・少子高齢化が進み、帰属意識が薄れている現在、こういったコミュニケーションスキルはますます重要になってくるのではないかと思います。
時代の変化によって要求されることも変化していく。
これは世の常ですからね。
強い会社になるためには避けては通れないところ・・・人材難や業績が停滞しているところは、ぜひ実践してもらいたいなと思います。
一緒に頑張りましょう!